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2004年 11月 18日
フォークロアーの特定の部門、ジャンルにおいて、最後の1~2世紀の間にゆっくりと普及していった、先立つものと比較してある程度まで新しいとされる、ジャンル上、内容上、フォーム上、構造上、演出上の特質全体を総括的に表した概念。新しいスタイルとは、古いスタイルの中から有機的に発展したものである。そしてそれら二つのスタイルは、同時に一か所に共存しえるものである。ただし多くの場合それは、例えば、古い世代が好むスタイルとか、若い世代が好むそれなどといった風な共存の仕方であり、いずれのスタイルを好むかは世代ごとで違うのが普通である。新しいスタイルは、ハンガリー語使用地域の中心部である発展度の高い地域(大平原、トランスダニューブ)において、18世紀の終わり頃に発祥する。その普及は、発祥当時はゆっくりとしていたが、農奴開放以降は慌ただしい勢いで広がり、古いスタイルを殆ど駆逐してしまう程であった。一方、ハンガリー語使用地域の周辺地域(スラヴォニア地方、モルドヴァ地方のチャーンゴー人など)に到っては、その波及はゆっくりとなり、本質的には今日においてもそのプロセスは進行中と言える。
新しいスタイルの特徴を挙げると次の様になる。古いスタイルに比べて均質である、すなわち、地域や民俗学的集団ごとの差は僅かである。西ヨーロッパや中央ヨーロッパ方面の隣接民族と、より密接な関連を持つ。芸術の世界にも、より多くの影響を及ぼしている。また、隣接民族の間では、新しいスタイルの方が良く知られている。 民衆文学のうち特に民謡のジャンルにおいて、さらにバルトーク・ベーラとその後人による調査・研究がなされた以降では、民俗音楽の世界において、新しいスタイルというものは最も良く知られている。最近の約100年間の民謡の動向として挙げられるのは、行事に結びつかない個人的な性質の歌のグループ(恋歌、兵士の歌など)が主流となったこと、単一のストローフからなること、各楽句の音節数が均一であること、2行一組の押韻が卓越すること等である。スタイル手法が種類に乏しく、主として自然描写による開始が好まれることなども挙げられる。 また、音階は五度(五音音階)あるいはその拡張されたもので、そして、旋律構造は元に回帰する様式のものである(AA5BA ABBA AA5A5A AABA)。リズムはジュスト・リズムである。装飾音はあまり使われない。演奏方法は特徴が少なく、単純で対話風である。民謡の歌詞は標準口語に近く、方言の使用は少ない。バラードの新しいスタイルも最近の百年の間に形成されたものである。そしてこのジャンルは民謡風になっている。すなわち、4行からなり2行一組の押韻から成るストローフ、音節数の均一な行といったものが卓越する。 新しいスタイルのバラードのうち目立ったものは、事故や工場・病院などについて物語るものであり、主要ジャンルはベチャールバラードである。いずれにおいても、そこに現れる対立は、鋭さはもうあまりなく、悲劇的でもない。物語の舞台は、大平原やトランスダニューブの村やチャールダ・プスタなどである。登場人物は、素朴な農民や牧夫、ベチャールのほか、村や県の公職者(町長、村長、憲兵ほか)などである。そこに出てくる様々な懲罰の方法は、古いスタイルのものと比べて寛大という訳ではないが、いずれもモダンな様式のものである。 新しいスタイルの民俗舞踊は、ここ2百年の間に、ハンガリーの国民舞踊を特徴付けるものに変わった。民俗舞踊における新しいスタイルも、古いスタイルと比べて均一となっている。新しいスタイルの民俗舞踊に属するものは、どこでも概ね同一のフォーム上の発展段階にある。フォーム上の豊かさや構造上の濃縮性が古いスタイルの踊りの場合のように充実するのは僅かな例外においてだけであるが、ジャンル間の違い(男性舞踊、カップルダンス、男女混合の踊り、サークルダンス、見世物的踊りなどの間での違い)は、古いスタイルの場合と比べてハッキリしている。新しいスタイルの踊りの伴奏には、新しいスタイルの歌、器楽ヴェルブンコシュ音楽、チャールダーシュ音楽などが用いられる。 (出典:Magyar Neprajzi Lexikon) #
by magyar_lexikon
| 2004-11-18 11:38
| ア行
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